『幻影異聞録#FE』
アトラスとファイアーエムブレムのド異色コラボ
最初に一言
今回はちょっと前に書き終わった幻影異聞録#FEの紹介文です。
要素紹介してたらま~~~た膨大な量に・・・。(汗)
このド長い文章ではかえって伝わりにくいかもですが、ひとまず、幻影異聞録はいいぞ!
いつも通り最低限読んで欲しいところに☆マーク付けます。
では、どうぞ~。
☆はじめに
本作はWiiUで発売した手ごわいRPGを作ることで有名なアトラスと任天堂のファイアーエムブレムシリーズ(以下FE)とのコラボ企画の現代の東京、それも芸能界を舞台としたRPGである。
本作はコラボ作なのに芸能界というテーマということでイロモノ扱いされて少し敬遠されがちだが、実際にプレイしてみるとしっかりとしたそれなりの難易度のRPGである。
発想が突拍子なところから生まれたがなんだかんだでしっかりと世界観も作られているので人にもよるがストーリーも受け入れやすい印象だった。
なお筆者は両シリーズともプレイしたことがないまま本作をプレイしているので、コラボ作品ならではの良さやコラボ元に対する知識がほぼ無いということを念頭に置いて読んで欲しい。
経緯など
本作の最初はあまり何も決まってない状況でアトラスの看板作品の1つ「真・女神転生」シリーズと任天堂のFEとのコラボ作品「真・女神転生meetsファイアーエムブレム」と称された発表がされただけで、そこからしばらく音沙汰が無かった。
開発当初はFEシリーズと同じくSRPGを作るつもりだったが開発が難航したためそしてアトラスの得意分野を生かすため、RPGになったという経緯を持つ。
なぜ元の作品とはかけ離れた過ぎている芸能のキーワードに至ったのか。
それはアトラスの得意とする現代を生きる若者たちのRPGは非日常や危機感をテーマにしていることが多く、それらとの差別化を図るために表向きは日常的なドラマを楽しめる舞台装置を考えていたら思いついたとのこと。
最終的に『芸能は元をたどれば神技である「能楽」から生まれたのもだから』『強くなることでより強力な表現力が身に付き、それによって芸能界でも活躍できるようになり成功する』(引用:Nintendo Dream 2016年2月号 37p)などの設定とシステムに結びついたからということだ。
この後も繰り返し書くが、華やかな見た目とは裏腹にこうして設定や世界観はしっかり考えて作られているので安心してほしい。
世界観・ストーリー・用語など
☆世界観説明
異世界からの侵略者「ミラージュ」は自分たちの力の源となる「パフォーマ」を欲して人々を襲っている。
「パフォーマ」とは人々の表現力の結晶である。
強大なパフォーマの持ち主は芸能界で活躍して成功するレベルで強力な表現力を持っているため、ミラージュに狙われやすい。「パフォーマ」が極端に奪われると死に至ることもある。
稀に強大なパフォーマに惹かれて、その持ち主にミラージュが宿り(協力してくれる)ミラージュの力を行使できる人間を「ミラージュマスター」と呼ぶ。
本作でのミラージュと呼ばれるFEのキャラクターたちはもしFE世界の争いがずっと続いていたらという考えや、戦うことに特化して進化していったという考えのもとデザインされている。
味方になるミラージュたちは基本的に記憶を失っている。
ストーリー
芸能が栄える現代の東京。
ある日主人公の「蒼井 樹」(アオイ イツキ)は友人の「赤城 斗馬」(アカギ トウマ)と待ち合わせしていると幼馴染の「織部 つばさ」(オリベ ツバサ)がアイドルのオーディションを受けている場面に遭遇する。
そのオーディションの最中、突如異形の怪物ミラージュたちが現れ、つばさを異空間(イドラスフィア)に連れ去ってしまう。
つばさを助けようとして追いかけるようにイドラスフィアへ飛び込む樹、何とかつばさを見つけたものの、自身もミラージュに追い込まれてしまう。
その絶体絶命の瞬間、自身に宿る光(パフォーマ)の輝きでミラージュの正気を取り戻すことに成功する。同じ要領でつばさ襲っていたミラージュも正気に戻す。
そして正気に戻ったミラージュ、「クロム」と「シーダ」の力を借り「ミラージュマスター」として2人は覚醒し、実は同じくミラージュマスターだった斗馬やトップアーティストの黒乃霧亜の助けを借りて無事異空間から脱出する。
事件後2人は「志舞崎 舞子」(シマザキ マイコ)の誘いで斗馬や霧亜が所属している芸能事務所「フォルトナエンタテイメント」で芸能界デビューすることになる。
フォルトナの表向きは芸能事務所だが、実はミラージュマスターの素質ある若者を集め、ミラージュたちの起こす事件を調査している組織でもあった。
芸能は神降ろしが起源のため、芸能の力を磨けばミラージュマスターとしての力も身に付き、ミラージュたちと戦う力も身に付くということもあり、樹たちは芸能活動に奮闘しながらミラージュたちの起こす事件を追っていくことになる。
システム解説とか
・☆TOPIC
本作はWiiUのコントローラー、WiiU GamePad(以下パッド)を生かした画面構成となっている。その要がTOPICだ。
TOPICとは本作の世界でのコミュニケーションツールであり、LINEのようなものらしい(筆者はLINEを使ったことが無いので必然的にこういう言い方になる)。
つまり本作プレイ中はパッドが作中のスマホ代わりになるのである。
着信時には振動と音声も鳴る(オプションでオフにすることも可能)。
さらに、作中で樹たちが使っているスマホはパッド風デザインである。
本作のこの性質上、パッドのみのプレイは出来ない。
TOPICには4つのタブがあり、タッチでタブを切り替えられる。
・MAIN STORY
タイムラインではメインストーリーの進行中にキャラクター間でのやりとりが表示される。詳細ではあらすじ風に今までのストーリーの流れを見直すことが出来る。
・SIDE STORY
詳しくは後述するが仲間のステージランクを一定以上上げるなどの条件を満たしたキャラクターに発生する「サイドストーリー」の進行や、やりとりを確認できる。
こちらもタイムライン表示と詳細表示の切り替えができる。
・USER
樹と各キャラクター間の個別のやりとりを表示する。
こちらも後述するがカルネージやユニティの素材が集まった時にお知らせしてくれる「お知らせユニティ」も搭載されている。
・MAP
ダンジョンやフィールドのマップも表示してくれる。
ちなみに本作は歩いたら自動的にマップを記録してくれるオートマッピングである。
・サイドストーリー
メインで展開するストーリーとは別に仲間の芸能活動を支える。本作における日常パートとも言える。
芸能人として成長するステップの不安と葛藤を解決し、才能を開化させて新たなパフォーマを獲得してそれを後述するレディアントユニティで習得し、イベントの結末を見届ける、というのがサイドストーリーにおける基本的な流れである。
受注条件を満たすとその仲間から(そのサイドストーリー)にまつわる悩みを聞いてほしいというような連絡がTOPICで来るので分かりやすい。
条件さえ満たしていればストーリー進行中でもストーリーの合間のインターミッション(幕間)中でもどちらでも受注可能である。
具体的にはただ会話イベントをこなすだけのものからボスクラスの強敵と戦うようなものまで様々だ。
一応どういう内容のものなのかサブタイトルやジャンル名のようなもので多少の判別はつくようになっている。
それぞれの仲間の意外な一面も垣間見れるところがサイドストーリーのうま味の1つでもある。
一部は戦闘に参加しない仲間のサイドストーリーもある。
その場合はそのサイドストーリーをクリアしたら直接の戦闘には関係ないが、緩やかに効いてくる感じの「バックアップスキル」を習得する。
一度受注したサイドストーリーは一旦キャンセルすることもできる。
新しいサイドストーリーを受注するとその前に引き受けていた方は一旦中止してしまう。
各キャラクターのサイドストーリーの開放、進行状況はフォルトナ事務所の樹用のPCで確認できる。
・ユニティ
ユニティとは本作では強化のことであり、フォルトナ事務所のドアから繋がるイドラスフィアに似た空間「ブルームパレス」に居るチキに頼んで行う。
ちなみに仲間ミラージュたちは普段、ブルームパレスに居る。会話もできる。
ユニティに関するQ&Aも見直すことができる(チキに聞く形で)。
・カルネージ・ユニティ
カルネージとはミラージュたちが変化している武器のことなのでつまりは武器の作成、強化ということになる。
戦闘で得た(敵がドロップした)パフォーマを素材として新たな武器を作成(ミラージュ視点的には新たな見た目の武器に変身、変化と言った所だと思われる)出来て新たなスキルを習得できるようになる。
そろそろスキルについても触れておく。
そもそもスキルは戦闘に参加すると貰えるカルネージへの熟練度が一定に達するとミラージュたちがマスターに伝授する形で覚える。
スキルには戦闘時の主軸となる「コマンドスキル」後述する本作の醍醐味である追撃するためのスキル「セッションスキル」習得することで常時発動する「パッシブスキル」そしてSPゲージを使って発動する「スペシャルパフォーマンス」のおおまかに4種類に分けられる。スペシャルパフォーマンスはカルネージによるスキル伝授とは関係なく覚えられる。
話を戻して1つのカルネージのスキルを伝授し終えるとその武器をマスターしたことになる。
ストーリーが少し進むと一度マスターしたカルネージを強化することもできるようになる。スキルの再習得や強化しやすくなるだけでなく、強化したカルネージからは強化前の状態では隠されたスキルを習得することができるようになる。そのためその隠されたスキルは強力なスキルや特殊なスキルが多い傾向がある。
スキルは基本的に覚えられる数に限度があり、カルネージ育成の過程でどうしても取捨選択せざるを得ない部分ができる。それもまた本作の醍醐味なのだが。
一度習得したスキルをもう一度習得すると強化できるスキルも存在する(威力の上昇やEPコスト削減など)。スキルの強化回数には限度があり、強化出来ないスキルもある。
カルネージによっては自分の弱点属性が変化するものもある。
・レディアント ユニティ
レディアントユニティとは各キャラクターのステージランクが上昇した時に貰えるパフォーマやダンジョン内の宝箱に入っているなどの特殊なパフォーマを使って習得できる自動発動のスキルのことだ。
各キャラの個性や得意点をさらに伸ばしたり、短所を補うようなスキル構成となっている。
・クラスチェンジ
マスタープルフというアイテムを使って仲間ミラージュを上級職にクラスチェンジさせることができるFE要素の1つ(今作では相棒ミラージュの職業によってキャラの属性相性が決まっている)。
クラスチェンジするとステータスが一部上昇(変更先によっては下降するものも)したり、クラスチェンジによって作成が解禁されるカルネージがあるのでそれらを作れるようになる。
ミラージュたちの見た目も変化する。変更先はそれぞれミラージュにつき2つある。
マスタープルフさえあればクラスチェンジ自体は何度でも可能だ(マスタープルフ自体はめったに手に入らないので簡単にはクラスチェンジ出来ないが)。
その他の今作の要素としては、芸能人らしく衣装チェンジも多彩だったり、昨今のゲームでは割と搭載されている目標達成のアワードシステムがあったり作中のアートワークももらえてじっくり鑑賞できたりする。
戦闘システム
本作はRPGでお馴染みのオーソドックスなコマンド式の戦闘方式だ。
画面上部にはラウンドゲージが表示され、各キャスト(ここからは各キャラクターのことを本作の方針に乗っ取ってキャストと呼ぶことにする)や敵ミラージュの行動順が表示されてどういう行動を取るべきか戦略が試される。
・シンボルエンカウント
本作はダンジョン内に敵の目印(シンボル)が徘徊しているシンボルエンカウント方式だ。ダンジョン内の敵シンボルに触れると戦闘が始まる。
本作ではシンボルに触れる前にシンボルを剣で(樹を操作するので要はカルネージ化しているクロムなのだが)切りつけるとシンボルをダウンさせることができる。
そのまま戦闘を回避することもできるし、シンボルがダウンした状態で触れると先制を取れる可能性がある(確定ではない)。
エネミーがどのくらい近くに居るのかなどはクロムがボイス付きで教えてくれる。
・ワイルドエネミー
通常の敵とは違う強力な敵をワイルドエネミーと言う。
ワイルドエネミーは剣で切り付けてもダウンさせることが出来ない。
探索しているダンジョン関係なく、こちらよりもレベルの高い敵と戦うことになる。だが強力な分、見事倒すと大量の経験値と特殊なアイテム「シャード」を落とす。
・チェンジ
樹以外のキャストはターンを消費せずに戦闘に出ているキャストと控え(本作ではサブキャストと言う)を入れ替えることができる。
キャストが増えてくると、相手の弱点を突けるキャストや逆に仲間が弱点を突かれそうな敵が居る時など、入れ替えるタイミングも重要となってくる。
・タクティクス
樹にだけ用意されているコマンドとして「タクティクス」というものがある。
これはそれぞれのキャストの大まかな行動方針(例:攻撃重視やEP消費節約など)を決めたらあとはAIが自動的にコマンドを決めてくれる。
RPGに不慣れな人向けのコマンドだ。
・☆セッション
本作の戦闘のキモとなっているシステム、それがセッションだ。
セッションとは敵の弱点属性を突くことで対応する仲間のセッションスキルが発動し、次々と追撃をしていくシステムだ。
本作ではこのセッションを活用して敵に大ダメージを与えていくことになる。
序盤はセッションの基本ルールのセッションに参加できるのは「始点の1人と対応するセッションスキルを持っている残りのメインキャスト2人」でありここまでだと2COMBO(3連続)までしか繋がらない。
しかし中盤で樹以外が習得できるレディアントスキル「飛び入りサブキャスト」というものがあり、これを習得するとサブキャストの状態つまり控えの状態でもセッションに参加できるようになる。
セッション時にどのような順番で攻撃するかのルート作りはメインキャストを優先して自動的にかつなるべく止まらないような最適なルートを辿ってくれる。
セッションを2COMBO以上決めるとボーナスとしてお金や攻撃を当てた敵固有のパフォーマ、スターダム系のパフォーマのどれかを追加で貰える。
またセッションは通常攻撃では弱点を突いても発動しないが、グッズによる攻撃からなら発動する。
セッションスキルは敵も持っていることがあり、味方が弱点突かれると敵もセッションしてくるのでそのまま袋叩きにされることもある。
ちなみにセッションは発動さえすれば確定で当たる(いわゆる必中)はなく、命中しないと続かない。回避されるとそのまま終了してしまう。この点は味方がセッションを受ける時も有効だ。
・3すくみなど
本作はFEとのコラボ作ということで戦闘でもその要素が生かされている。
FEには剣は斧に強く、槍は剣に強く、斧は槍に強いという感じの武器の属性相性がある。
これは本作でも採用されていて、斧の(クラス)の敵を剣で攻撃したら弱点となり、大ダメージ&セッションが発生する。本作には武器属性以外にも炎や氷などの属性もある。
逆に味方のクラス(雑に言うと持ち武器?)と相性悪い敵に弱点を突かれてしまうこともある。
・スペシャルパフォーマンス
スペシャルパフォーマンスとは戦闘中に行動すると溜まっていくSPゲージを消費して発動するスキルのこと。
実は2種類ある。
1つは相棒のミラージュ自身が敵を攻撃するもの。この場合耐性を無視してかつ、弱点を突いていなくてもセッションが発動する。
2つ目はサイドストーリーなどでキャスト自身が身に付けた演技等で補助効果を発生させるもの。
どちらのスペシャルパフォーマンスも強力であり、戦局を左右する。
・アドリブパフォーマンス
対応する武器や魔法のコマンドスキルを使用した際にランダムで発動する。
敵の耐性を無視して全体攻撃となる&スキルによっては追加効果が付く。
どの属性で発動するかはキャストごとに決まっている(キャストの得意とする属性で習得するようになっている)。
弱点を突いていなくても突いた扱いになってセッションが発動するのもポイントだ。
・デュオアーツ
4連続以上のセッションが開始されたときにランダムで発動するキャスト2人による合体攻撃のこと。
基本は全体攻撃or単体攻撃+回復などの補助効果が発生する。
セッション発生からリミットとなるキャストのセッションスキルが終了するまでの間に発動するか決める。2つ以上習得していれば2択出るのでどちらを発動するか決める。
決めたデュオアーツはセッションのラストに発生し、デュオアーツ終了後は基本的に発動したデュオアーツの属性からデュオアーツ参加者を抜いた形でセッションが続く。
運が良ければ2回目、3回目とデュオアーツが発生することもある。
習得にはタッグを組むキャストたちのサイドストーリーのクリア状況が絡む。必然的にキャストたちが揃ってくる中盤以降に習得できるようになる。
デュオ、アドリブ、スペシャルパフォーマンスの3つはエクストラスキルと呼ばれる。
ついでに演出もカットすることができる。
☆良い点など
・コラボ作としては非常に飛躍し過ぎている部分があるかもしれないが、プレイしてみるとゲームとして、RPGとしてしっかりと設定も戦闘システムも作られていると感じた。
・ちゃんと練られた設定やキャラクターの成長
まず設定部分は勢いだけでなく、芸能人は表現力が強い=芸能の起源は神降ろしなので表現力が強くなると英雄(ミラージュ)たちの力を引き出せる、というしっかりとした理由付けをしたことで、芸能を磨くことにしっかりと意味を持たせている。
そしてメインストーリーやサイドストーリーで仲間たちが芸能人として才能を磨き、開化させていくのも、仲間が表現者としての才能が備わっている&その才能を開花させるために努力しているので見事に納得のいくサクセスストーリーを歩んでいくのだ。
いつの間にかそれらをサポートしている主人公樹視点で仲間たちに愛着が湧き、応援して見守っている気分にもなる。
その樹も芸能に興味が無いのに目立つのではなく皆を引っ張れる存在として才能を発揮していく。FEで言うところのロードとして、芸能界風に言うならマネージャーとして、縁の下の力持ち系主人公とでも言うべき珍しい立ち回りなのも見ていて新鮮だ。
普段のアトラスは重く暗い話のゲームをよく作っているみたいなので、そのギャップに見事に裏切られた感じもある。いい意味でいつものアトラスとは毛色が違う。
そのためかえってアトラス作品が初めての人やダークな話が苦手という人には手を付けやすい立ち位置のゲームとも言える。
コラボ作として
コラボ作ではあるが、単なるコラボを超えた新作RPGとして見た方が(ゲームにも)入りやすいかもしれない。
一応コラボ要素も中途半端なわけではないらしく、ストーリーも後半はFE要素が目立ってくることや小ネタも沢山仕込まれているようだ。
ここで筆者が分かる範囲内で本作のFE要素を書き出してみる。
・まず樹たちと組むミラージュや名前がある敵ミラージュたちはFEのキャラクターたちである。
ミラージュの出典はシリーズ1作目の「暗黒竜と光の剣」と本作が開発中に最新作だった「覚醒」の2作から。
・セッションスキルの名前のサンダーやエルサンダー、ウィンドなどはFEの魔法の技名。通常のコマンドスキルの方はジオやザンなど真・女神転生シリーズの技名なので差別化されている。
・作成できるカルネージにFE出典の武器がある(真・女神転生シリーズもある)。
・カフェなどの店員にFEキャラクターのそっくりさんが居る。こちらはFEシリーズのキャラクター本人ではなく、あくまでそっくりさんとのこと。
ちなみにミラージュ以外の出典は「暗黒竜と光の剣」「覚醒」以外のシリーズからも出ている。
・マスタープルフでクラスチェンジする。
などだ。
世界観作りなど
個人的には今までやったことのあるゲームの中でもTOPクラスに登場人物たちの表情が豊かだったのにも驚いた。(モデリング技術?)
他のRPGにはダンサーやアイドルなどの職業は存在するが、パーティメンバーが全員芸能人でしかも、演出込みで歌って踊る(しかもその2点もしっかり作られている)のは今のところ、本作ぐらいしかないのではないだろうか。そういう意味でのレアリティもあるのだ。
作中の芸能界の描写もドロドロとした部分はほぼ無く、オマージュに溢れていて親しみやすい。
世界観の点で言うと、メニュー項目やアイテムなども芸能界などを連想させるネーミングになっていたり、戦闘するステージもライブハウスっぽかったりしている。(例:メニューのキャラのセッティングやカスタマイズをCoordinate、敵から確実に逃走するアイテムをスモークマシン、RPGにおけるクエストを本作ではリクエストと呼ぶなどなど)
上記に色々書いたように本作はFEと芸能とを生かす世界観作りが徹底されている。
戦闘面の良さについて
セッションが楽しい&爽快
本作の戦闘はセッションのおかげでとても爽快だ。近年のRPGの中でもトップクラスに戦闘が楽しい。
先述した部分も含むが序盤はセッションが決まっても短いが中盤以降「飛び入りサブキャスト」を習得できるようになると長くセッション繋がるようになり、控えのキャストも生かしやすくなる。そこにデュオアーツも加わると10COMBO以上繋がることも珍しくなくなる。
初めて遭遇した敵にどの属性が有効か、考えつつ攻撃するスキルを選び、正解だった時に一気にセッションが繋がる爽快感は他のゲームでは味わえないだろう。
FEに慣れて無くても、そのうち敵の兵種からどの武器が弱点かなども判別しやすくなる。
またセッションは資金や素材集めのキモともなっている部分もあるのでザコ戦でも作業感が他のRPGと比べて少なめだ。
セッションが長く続くとその分素材も資金もがっぽり貰える。
新しいキャストが加入した章ではそのキャストが得意とする属性が弱点の敵が多めで加入直後でも活躍しやすく調整されているのもいい点だ。
それぞれのキャストが得意とするまたは苦手とする部分も比較的ハッキリしているので没個性になって埋もれるキャラが居ないのもありがたい。
戦闘時キャストも相棒ミラージュも喋るのだが、そのボイスパターンもかなり豊富だ。多種多様な状況のセリフが賑やかに戦闘を盛り上げてくれる。
セッションが楽しい要因の1つでもあるだろう。
戦闘時のテンポを損なわず、かつほどほどにやりごたえのあるようにどこまで耐性を無視していいのか、悪いのか線引きが大変だったかもしれない。
少なくとも本作はその調整が上手くいっているとも考えられる。
その他親切な部分
戦闘には直接関係無いがボス戦などは、そのマップに入る前に必ず進んでいいか確認の選択肢が出てくれるのも大変ありがたかった。装備の確認的な意味でも、節目だということをわからせてくれるという意味でも。
難易度設定もなんと本作は5段階まで設定できる。
正確に言うとゲーム開始時には一般的な優しい、普通、難しい、の難易度しかないのだが優しいでゲームオーバーになると、さらに一段階優しいモードが出てくる。
そして優しいのとさらに優しいモードでは戦闘で負けてゲームオーバーになったら直前に戻ることもできることに加えて、ボス戦に入る前に推奨レベルも確認できる。
そして基本的に難易度変更はいつでもできるのもありがたい。
ちなみに最高難易度はゲームクリア後に2週目以降に設定でき、一度選択すると変更出来ない。
よって本作はストーリーを楽しみたいライトユーザーにも、歯ごたえある戦闘を楽しみたいヘビーユーザーにも両方おススメできる。
劇中歌とBGM
本作は芸能界がテーマということで劇中歌や演出にも力が入っている。
何せ今回の劇中歌やBGMは普段はゲーム業界に関わっていない畑違いとも言えるエイベックスが曲作りに参加しているからだ。
ボーカル曲は本当にそのキャラクターが芸能界にデビューするとしたらやアーティストの明確なイメージや具体的な情報を出して、それでそれぞれのキャラクターの雰囲気や立ち位置を示していたり心情表現を見事に表現している。
どれもいつものゲームソングとは少々違って、J-POP寄りのフレッシュな曲ばかりで良曲揃いだ。
BGMも本作で初めてゲーム音楽作りをする人が担当したのだが、戦闘BGMもダンジョン、フィールド、イベント曲とどれも雰囲気に合っていてしっかり出来ている。
ボーカル曲はCDが出ているのが大変ありがたいのだが、何故かBGMの方は未だにサントラが発売されていない。
本作はボーカル曲が目立つが、BGMも特に戦闘時やダンジョン曲など良曲揃いでじっくり聴きなおしたいので今からでも発売してほしいものだ。
その他細かい良い点など
・戦闘に直接参加しないキャラクターもサイドストーリーやそれをクリアすることで習得するバックアップスキルのおかげで一緒に戦ってくれている感じがいい。
・作中のストーリーやサイドストーリーの進め度合い(芸能界での活躍度合い)によって街の看板やポスターにそのキャストたちが載っていたり、雑誌を立ち読みできるのだがその内容が追加されたりと、しっかり芸能界で活躍しているのがゲーム内にも反映されているのも愛着が湧きやすいポイントだ。
・渋谷や原宿が舞台なこともあって、縮尺に多少の違いはあるが再現度は結構高い。
プレイ前とプレイ後に実際の渋谷に行く機会があったのだが、この辺にカフェがあるとか公衆電話の位置など細かいところも可能な範囲で再現されていることが分かった。
・オプションもRPG作っているアトラスならではのプレイヤーへの配慮や便利システムが入っているように見えた(オプションに限らないが)。
・セーブがいつでもどこでも出来るタイプのゲームなのでありがたい。
・2週目以降では視聴済みの一度見たムービーをフォルトナ事務所で見直せる(一部例外はあるが)。
ちょっと気になる点
本作はゲームとして致命的に悪い点は無いが、少し気になる点は少ないながらある(多い方が製品として問題だが)ので一応書いていく。
・一部文字がつぶれている。
ごく少数だが文字が一部潰れていることがあった。(ゲームパッドに表示される敵を倒した時のkonckoutedなど)
ゲームプレイに支障はないが、折角のHD画質なので少し残念だった。
・一部パフ(状態変化など)が効果中でも表示されなかったのが気になった。
確認できた範囲ではまもりの敵の攻撃を引き付けるマーキングが効果中でも表示されなかった。自力でカウントすれば済む話なのだが、他の攻撃力アップなどは表示される中で気になった。
・ダンジョン内のギミックが少々難しめ。
一部のダンジョン内のギミックはかなり頭を使うのでそういう謎解きが苦手な人は、本作のギミックは少し難しく感じるかもしれない(筆者がそういうの苦手というのもあるが)。
・フィールドスキル発動に少し手間がかかる
敵の発生を抑制するスキルや、ダンジョン内のトラップを表示してくれるスキルなどの発動に地味ながら少し手間がかかる。
メニュー画面開く→スキルに関する項目を選ぶ→該当スキルを探す→発動。
の一連の流れが少々長く感じた。
それこそパッド側で発動できるようにしてくれたらよかったのではないかとも感じた。
この点は不満点として書かなくてもいいレベルの話なのだが、もし改善点を挙げるなら程度のことなので気にしなくてもいい点ではある。
・ボタン配置
個人的に+ボタンがゲーム中で全く使われてないことが気になった。
+のボタンと言うと昨今のゲームではメニュー画面を開くのに使われる傾向が強い。だから本作ではYボタンでメニュー画面を開くのは少しばかり違和感を覚えた。
逆に+に役割を配置する必要がなかったともとれるが。
・戦闘画面に切り替わるときのロードが長い
戦闘を頻繁にしていると気になってくる。一応DL版を買えば少しはロード時間が短縮されるようだ。
ただ、通常戦闘曲はイントロがロード時間に合わせられているのは好印象だった。
・リクエスト周り
本作はクエストのことをリクエストと呼ぶ。
受注はフィールド上やダンジョン内でに困っていそうな人物の頭上にマークが出るので目印自体はある。
パッドにもそのマークは表示されるのでマップを意識すると探しやすい。進行状況もマークの色で一応分かる。
しかし逆に言うとマップを見ないと気づかない、気づきにくい。
筆者としてはそれこそパッド側で受注や進行状況などを見直せるリクエスト関連のリストが欲しかったところだ。最近は色々なゲームで搭載されているシステムでもある。
そもそもリクエスト自体が少々味気ない、達成感が薄かったようにも思えたというのもあるが。
・セッションが飛ばせない
セッションは演出が飛ばせない。
セッションは戦闘時必ず使う要素な点と敵を倒してオーバーキルしていても続くだけに、演出を毎回見るのはダルく感じるのもあるかもしれない。
ただしセッションの演出を飛ばしてしまうと今度はデュオアーツの入力リミットをどうするのだろうという問題点が浮上してくる。
ついでに命中判定も演出中に行われるみたなのでそういう計算も、もし飛ばせるようになったらどうするのだろう。
次回作を出すならせめて早送り機能は欲しいかもしれない。
・主人公の樹がパーティメンバー入れ替え出来ない。
役回り的にも樹が居ないとパーティがしまらないというのがあるが。
一応樹の使う属性が極端に不利になるような状況にはならない程度に調整されてはいる。
しかし自由なメンバー編成が阻害されているのは確かなので書いておくことにした。
おわりに
繰り返しになるが、本作は一見すると必然的に期待のかかるコラボ作なのに芸能がテーマということで一体どうしたと心配になる。
しかし実際に手に取ってみると設定も世界観もしっかり作られていて、テーマやコラボ作というのは違和感なく表現できている。
世界観の表現は曲作りに参加したエイベックスの協力も大きい。どの楽曲もそのまま聞いても良曲なのもポイント高い。
戦闘や育成、ストーリーとRPGに必要な要素もしっかりゲームに落とし込まれていてゲームとしてやっていて楽しい。
特にセッションシステムは控えのキャストも活躍出来てチーム全員で戦っている感じが強く出ているのも好印象だ。
何気に手強いシミュレーションのFEと手強いRPGを作るアトラスがコラボという点も本作のポイントだ。
そんな手強いづくしの本作だが昨今のゲームではよくある難易度変更システムのおかげで初心者から上級者までおススメできる。
こんなしっかり作られた良作をプレイせずしてWiiUから卒業できるものかとプレイ中は強く思った。
何気に任天堂、インテリジェントシステムズ(FEシリーズを制作している会社)、アトラス、エイベックスと四社四様に関わってくれたからこそ出来た本作だが、何らかの形で続編等を出してほしいがハードルが高そうではある。
コラボ作ではあるがFEシリーズや真・女神転生シリーズを知らなくても楽しめたので、各シリーズファン以外にも面白いゲームを求めていたらおススメだ。
何気にWiiUでは一番取っ付きやすいRPGでもあるので、出来ればWiiUを持っていない人にもおススメしたいが、取り敢えずはWiiUを持っているRPG好きな方には是非ともプレイしてもらいたい。
特に暗い話とかにうんざりしている人は作中のキャラクターたち活躍、パフォーマの輝きを浴びて元気になれる、かもしれない。
追記
2019年9月5日のニンテンドーダイレクトでなんとSwitchへの移植+新曲、新イベントなどの追加要素を引っ提げて「幻影異聞録#FE Encore」というタイトルで2020年1月17日に発売することが発表された。
WiiU版ではバトルに参加出来なかったキャラもセッションに参加するようで期待が膨らむ。
ついでにどさくさに紛れて新曲+BGMのサントラも発売して欲しいとこっそり願う。
この機会にプレイしてない人には是非手に取って欲しい。
Switch版との比較点は↓ここに書いたので気になる人は
komaki-game-recommend.hatenablog.com
参考文献
幻影異聞録#FE 完全攻略本 徳間書店
ソフト内の電子説明書
幻影異聞録#FE ビジュアル設定資料集 アスキー・メディアワークス
電撃Nintendo 2015年9月号 2016年1、3月号 2月号の付録「幻影異聞録#FE ファーストガイド」 アスキー・メディアワークス
Nintendo Dream 2015年9月号 2016年1,2,3月号
公式ブログ STAFF異聞録
3rdトレーラー
発売年月日:2015年12月26日
値段:通常版7236円(税込み) フォルテッシモエディション9698円(税込み)
WiiU同梱版(40824円)(生産終了)
制作:アトラス
販売 :任天堂
付記
初起動日:2017年6月2日 (この年の初めに買った。)
プレイ時間:約275時間(1週目は途中までノーマル、後半ハードでプレイしトゥルーエンドでクリア。2週目はルナティックでプレイ中。現在は裏ボス戦に向けて育成中。DLCは育成サポートセットのみ購入。)
シリーズプレイ歴:コラボ元両方無し。(強いて言うなら、FEシリーズはスマブラに参加しているキャラクターをさらっと知っているくらい。)
購入動機:ニンドリや電撃Nintendoで特集されていてなんとなく気になったから。中古のフォルテッシモエディションを買った。
補足と言い訳
BGMの方もサントラ出してほしいですエイベックスさん。通常戦闘曲は言わずもがな、ボス戦関連聞き直したいんですよぉぉぉ・・・。(嗚咽)
幻影異聞録はテーマ芸能界なのでがゲーム好きな人程縁が遠いから敬遠するかもだけどプレイするとホンっと面白いことが分かるので是非!やって下さい!
あと文章方面では煮詰まって書いた部分もあるのでちょっと雑に見えるとこがあるかも・・。
おわりにも他の部分はかっ飛ばしても絶対読んでもらいたい部分だからもっとあっさりにしたかったけど超長いですね!
スマンねえもそこだけでも読んで☆
ここまで読んでくださった方ありがとうございます。
次は私流の文章の書き方でも載せようかと思ってます。
では、また~。